気ままにブダペスト生活 #49

ぶらり旅
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あっという間に世界選手権は終わってしまいました。
日本は、シンクロ・競泳で12個のメダルを獲得し、
アテネに引き続き、競泳王国であることを世界に示しました。
金メダルはなかったものの、北島選手が確実に表彰台に乗り、
柴田選手もアテネが時の運ではないことを証明しました。
大会最後に行われた男子メドレーリレーも、銅メダル。
本当に素晴らしい活躍を見ることが出来ました。

競泳を見ていて、やはり日本はレベルが高い、と思ったのは、
メダル争いに届いていない選手でも、
多くの日本人選手が準決勝、決勝まで残っている事。
一つのレースに同じ国から2人も出場することが、すごいと思いませんか?
世界のトップ16に入るだけでも、素晴らしいと思うのです。
いつ見に行っても、必ず日本人選手の活躍が見れる、というのは、
なかなか出来ないことではないでしょうか。

さて、水球日本男子は、14位という成績でモントリオールの夏を終えました。
24日 日本 13-8 南アフリカ (2-2,4-2,3-0,4-4)
26日 日本 8-10 カナダ (3-2,3-1,1-4,1-3)
キューバに惜敗し、チーム全体がひどく落ち込んでいましたが、
すぐに南アフリカとの対戦が行われました。

<13-16位:南アフリカ戦>
これに勝てば、13-14位が決定し、今までの最高順位となります。
負ければ、カナダか中国の負けたチームと最下位を避ける闘いとなります。
前回のバルセロナ大会から一つでも順位を上げたい日本は、
どうしてもこの試合に勝ちたいところです。

一昨日のうなだれた姿はどこにも見当たらない、
すっきりとした日本チームがいました。
試合は、いつもの一進一退の展開。
しかし、この日の日本チームには、
いつもの声を出し合ってディフェンスを固める元気な水球が戻っていました。
なんとか波に乗りたい日本は、今大会で大きく成長した塩田選手が連続得点。
そして、キャプテンの佐藤も、百発百中の4得点。
途中7点差までつけましたが、最終ピリオドで4失点し、
結果は13-8で初勝利を収めました。
とにかく、この一勝は大きかった。
大本監督も選手たちも、みんな大喜びで、インタビューも明るい表情が伺えました。

<13-14位:カナダ戦>
日本チーム最終戦の相手は、ホームのカナダとなりました。
6月にポーランドで行われたポチトビエツカップで、
日本はカナダに接戦の末、二敗しています。
ホームの強みで勢いに乗る可能性もあるカナダを相手に、
何とかもう一勝したいというのが日本チームの希望でした。
出だしは好調。スペインで活躍する経験豊富な田中選手が先制し、
続いて成長著しい星合もゴール。
退水で1点返されましたが、再び田中選手の退水からの得点でリードしました。
第二ピリオドも塩田、小林選手が連続得点で5-2となり、カナダを突き放す。
この試合は前半から退水が多く、すでに永田は3回、小林も2回の退水を受け、
フローターバックが瀕死の状態で後半を迎えることになってしまいました。
後半開始直後、センターボールを半ば強引に奪ったカナダは、
塩田選手の退水時間を利用してタイムアウト。
ここからカナダの猛反撃が始まります。
3点連続ゴールを許し、6-6の同点まで追いつかれてしまいました。
日本も退水誘発後にタイムアウトをとり、
ベテラン組の田中から青柳のパスでゴールを決めました。
しかし、2人しかいないフローターバックを上げられてしまった日本チームは、
田中選手の3得点も空しく、8-10の逆転負けを喫しました。

<水球女子>
1位ハンガリー 2位アメリカ 3位カナダ 4位ロシア
5位ギリシャ 6位オーストラリア 7位イタリア 8位ドイツ
9位キューバ 10位オランダ 11位スペイン 12位ニュージーランド
13位ブラジル 14位ベネズエラ 15位ウズベキスタン 16位中国

ハンガリーが念願の優勝。
決勝は、延長にまで及ぶ接戦となりましたが、
アメリカは一度もリードを奪うことが出来ませんでした。
同グループだった両チームは、予選リーグでも対戦しており、
9-8でやはりハンガリーが勝っています。
まさに納得の勝利といえるでしょう。
意外だったのが、アテネの覇者イタリア。
初戦、地元カナダとの試合で、8-7で負けてしまい、調子が狂ったのか、
準々決勝ではロシア、オーストラリアにも負けています。
ホームであるカナダは、応援も手伝って、健闘しました。
イタリア、ギリシャ、ロシア相手にに次々と勝利してゆくさまは、
まるで去年のギリシャチームを見ているかのようでした。

<水球男子>
1位セルビア・モンテネグロ 2位ハンガリー 3位ギリシャ 4位クロアチア
5位スペイン 6位ルーマニア 7位ロシア 8位イタリア
9位ドイツ 10位オーストラリア 11位アメリカ 12位キューバ
13位カナダ 14位日本 15位南アフリカ 16位中国

ハンガリーの連覇を止めたのは、やはりセルビア・モンテネグロ。
去年のアテネオリンピックの時は、決勝で逆転負けし、
あと一歩のところで金メダルを逃しました。
アテネの表彰式のまるで逆の風景を見ました。
ハンガリーは、銀メダルをもらったものの、ファンサービスもせずに、
すぐに控え室へ戻ってしまいました。
一方、セルビア・モンテネグロは、喜びを全員が体中で表現し、
いつまでも、会場から出ようとせず、勝利の味を噛み締めていました。
アテネ五輪では、惜しくもロシアに負けてメダルに届かなかったギリシャも、
今回の銅メダルに興奮していました。
特記すべきは、クロアチアの活躍です。
アメリカの代表監督だったラトコ・ルーディッチ氏を呼び戻し、
去年の10位という成績から、一気に立て直してきました。
ルーディッチ氏が、いかに素晴らしい監督かということは、
アメリカが11位にまで転げ落ちてしまったことを見ても明らかです。
水を得た魚のように、という表現がまさにぴったりのクロアチアは、
延長でロシアを6-4で破り、セルビア・モンテネグロには4-5の一点差で負け、
三位決定戦のギリシャとも延長戦まで繰り広げ、10-11で負けました。
素晴らしい活躍をみせてくれました。
残念だったのは、去年の銅メダリストのロシアです。
先月のワールドリーグから、あまり調子が良くないことは知っていましたが、
まさかイタリア・スペインと接戦し、クロアチア、ルーマニアに負けるとは
思ってもいませんでした。
二年前のバルセロナ大会から、凋落振りが激しいのはイタリアチーム。
あの時、ハンガリーと接戦を演じたチームとは思えないほど、
去年のアテネ五輪から停滞しています。
スペインには予選リーグ、決勝リーグ共に負けており、
ロシアにも2戦とも負けています。
逆にスペインは、新監督、選手の8割を入れ替えた新しい若いチームで5位。
東欧国が上位にひしめく中、よく頑張ったと言えるでしょう。
中国は、男女共に最下位でした。
ワールドリーグ、UNICUMカップなどに参加し、強化しているところでしたが、
まだその結果は、目に見えて出てくることはありませんでした。
今後も引き続き、北京五輪に向け、強化するでしょうから、
アジアにおける日本のライバルとなってゆくことは間違いないでしょう。

日本は、今までアジアのトップを目指してきました。
この数年間の大本ジャパンの成長たるや、目を見張るものがあります。
三回連続で世界選手権に出場したことだけでなく、
2002年の釜山アジア大会で26年ぶりに中国に勝利したこと、
今年のアジア選手権でカザフスタンを破ったことも挙げられる。
モントリオールでの日本チームの健闘ぶりは、
セルビア・モンテネグロのポロビッチ監督が評価しているだけでなく、
FINAのDaily Newsにも書かれています。
しかしながら、結果は14位。
アジアのトップの座を手中に収めた今、次の目標は世界です。
キューバ戦で、世界の水球が手の届くところにありながら、
日本チームは、それをしっかりと掴みきれなかった。
それが乗り越えなければならない、小さくて大きい壁なのではないでしょうか。
今回の南アフリカ戦の唯一の勝利は、
選手全員の大きな自信となることでしょう。
特に、今まで目立たない選手だった塩田選手、星合選手の活躍は、
今大会を通して目覚しかったし、ベテラン組の青柳選手、田中選手と
キーパーの江口選手とのコミュニケーションもばっちりでした。
残念ながら、江口選手は、就職を理由に引退してします。

これからの水球は、戦術、技術、チームワークだけでなく、
相手の深層心理を読み、自分のチームだけでなく、
水球に関わる全ての要素を巻き込んだ魅力的な水球をしてゆくこと。
そんな気がしました。
そのためにも選手たちが水球を思い切り出来るような環境作りや、
多くの方々に応援してもらえるような楽しいスポーツにすること、
日本国内だけでなく、グローバルな視点で水球を考えるようにすることなど、
私にとってもたくさんの収穫があったモントリオール世界選手権でした。

今回の経験が、どのように消化され、生かされてゆくのか、
2年後のメルボルン、4年後のローマまでもずっと見守ってゆきたいです。
6年後は、もしかしたら横浜かもしれませんよ。
そのときは、皆さんもストレス発散に大声出したり、イイ男チェックしたり、
ノリのいい曲で踊ったり、日焼けしたり、水着の女の子を見るためでもいいので、
水球観戦してみてください!

*にーあや* 感想をお待ちしています

Macky!メールマガジン「Viva Barcelona!」
発行者名:ni-aya
水球に魅せられて早や2年。世界水泳をきっかけに、バルセロナまで来てしまいました。 2年間ここで水球観戦しながら、のんびりスペイン生活を自由気ままに満喫します。スペインが好きな人、水球を知りたい人、バルセロナに興味がある方はぜひぜひご覧あれ!!
2004年のアテネオリンピックをきっかけに、水球が国技のハンガリー・ブダペストに魅せられて移住。日本へ一時帰国するのをやめて、そのお金をブダペスト生活に注ぎ込み、マジャール水球を自由気ままに満喫しています。

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