バレエ「ロミオとジュリエット」のあらすじと解説

クランコ版「ロミオとジュリエット」バレエ鑑賞ガイド
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最高の文学・音楽・舞踊が結びついた、ドラマティック・バレエの傑作『ロミオとジュリエット』。儚く美しい恋愛が、終幕へと劇的に駆け抜けます。
何度観てもラストシーンは涙が止まらなくなってしまいます。この感動をぜひ劇場で味わって欲しい作品です。

ドラマティック・バレエ」とは?

主に20世紀に振り付けられた演劇的バレエのこと。有名な戯曲をバレエ化したものが多く、感情移入しやすいため、初心者も見やすいです。
動きの一つ一つが台詞代わり、そして心理描写となっているところが、伝統的なクラシック・バレエとは違います。
代表作は『ロミオとジュリエット』『マノン』『オネーギン』『椿姫』。

あらすじ

原作はシェイクスピアの戯曲です。『ロミオとジュリエット』は、シェイクスピア劇の中でもバレエ化されることが多く、名作といわれる振付も多い演目です。

登場人物

キャピュレット家
ジュリエット:キャピュレット家の令嬢
ティボルト:ジュリエットの従兄
パリス伯爵:ジュリエットに求婚
キャピュレット卿:ジュリエットの父
キャピュレット夫人:ジュリエットの母
乳母:ジュリエットを支える
ロザライン:ロミオが一目惚れ
 
モンタギュー家
ロミオ:モンタギュー家の子息
マキューシオ:ロミオの親友
ベンヴォーリオ:ロミオの親友
3人の娼婦:ロミオと親しい
 
ロレンス神父:結婚により両家が争いをやめるように望む
エスカラス:ヴェローナを統治する大公

第1幕

中世イタリア、ヴェローナの街。敵対する名門モンタギュー家とキャピュレット家が争いを繰り広げています。

ある夜、キャピュレット家主宰の仮面舞踏会に、モンタギュー家のロミオとマキューシオとベンヴォーリオが忍び込みます。そこでロミオはキャピュレット家のジュリエットに出会います。
二人は一目で恋に落ちますが、敵対する家同士の恋など許されるはずもありません。

しかし、若い二人の愛は深く、ジュリエットの部屋のバルコニーで愛を確かめ合います。

第2幕

翌日、二人はロレンス神父のもとで秘密の結婚式を挙げます。
街の広場では再び両家の争いが起こり、ロミオの親友マキューシオが、ジュリエットの従兄ティボルトの刃に倒れます。ロミオは親友の仇をとりますが、街から追放となってしまいます。

第3幕

ジュリエットの寝室。恋人たちは別れを惜しみながら過ごし、夜明けにロミオは街を去ります。
両親からパリス伯爵との結婚を迫られたジュリエットは、ロレンス神父のもとへ行き、仮死状態になる薬を授けてもらいます。ロレンスは、ロミオに薬のことを伝えて、ジュリエットが目覚める頃にロミオが迎えに来て一緒に逃げられるように取り計らうことにします。

しかし、ロレンスの伝言はロミオに届きませんでした。ロミオは、ジュリエットの墓所で絶望し、毒薬で命を絶ちます。
目を覚ましたジュリエットは、息絶えたロミオを見て短剣で自らの胸を突き、彼のあとを追ったのでした。

みどころ

「あぁロミオ、どうしてあなたはロミオなの?」という有名な台詞が聞こえるような第1幕のバルコニーのパ・ド・ドゥは、ロミオのスピード感ある動きやリフトを通して、若い二人の溢れるような情熱が伝わってきます。

第2幕のティボルトとマキューシオの決闘シーンは、迫真の演技に引き込まれます。バレエの舞台とはいえ、決闘シーンは専門家に剣の扱い方や振り方を指導してもらいます。ロミオが激昂してティボルトに掴みかかるシーンも緊張感が走ります。

第3幕の寝室のパ・ド・ドゥは、バルコニーの時とは打って変わって、別れの哀しみが伝わってきます。
ロミオが去った後のジュリエットが、たった一人で自らの愛を貫き、大きな決断をして成長してゆく姿も見どころです。

音楽

『ロミオとジュリエット』のバレエ音楽はいくつか存在しますが、人気が高いのはセルゲイ・プロコフィエフ作曲によるもの。彼が後に作曲した『シンデレラ』と並ぶ名曲として有名です。
このバレエ音楽は劇的で叙情的、そして原作の物語そのものなので、どの振付でも音楽構成がほぼ共通しているようです。
20世紀の作曲家プロコフィエフの音楽は、「不協和音」や「不規則なリズム」が多く、独特な魅力があります。

ヴァージョン紹介

プロコフィエフの音楽による全幕バレエの代表的な振付をいくつかご紹介します。

ラヴロフスキー版

1940年にマリインスキー劇場で初演して大成功を収め、その後のプロコフィエフ『ロミオとジュリエット』発展の原点となりました。
マリインスキー・バレエ団によって踊り継がれるこの版は、ルネサンス絵画のような舞台とマイムが見られ、様式美や舞踊性のあるバレエです。

マクミラン版

1965年に英国ロイヤル・バレエ団が初演して反響を呼び、多くのバレエ団のレパートリーとなり、新国立劇場バレエ団もその一つです。

伝統を重んじる重厚な貴族たちと、若くひたむきな恋人たちとの対比が印象的。

バルコニーのパ・ド・ドゥをはじめ、音楽と響き合う躍動感ある踊りの数々がある反面、ひとり寝台に座って静止する場面のような手法も効果的に用いています。

ケネス・マクミラン

英国ロイヤル・バレエを代表する振付家であり、同バレエ団の元芸術監督。
複雑なパートナーリングやリフトのある情感豊かなパ・ド・ドゥで、人間の内面を表す演劇的バレエを数多く創作しました。
代表作は『ロミオとジュリエット』『マノン』『マイヤリング』。

クランコ版

1958年にミラノ・スカラ座バレエ団が初演し、シュツットガルト・バレエ団東京バレエ団のレパートリーになっています。温かみがあり、堅苦しさのないイタリア風の疾走感あり、パ・ド・ドゥで主役2人の感情を見事に描写しています。
シュツットガルトの初演でユルゲン・ローゼが手がけた衣裳・美術が美しく、二層構造の舞台装置を全ての場面で効果的に使っています。

ヌレエフ版

1977年にロンドン・フェスティバル・バレエで初演。ヌレエフがパリ・オペラ座バレエ団の芸術監督となってから、オペラ座のレパートリーとなりました。
死を暗示する演出や、男性の踊りが多めなところが特徴。踊りのハイライトは、華麗なテクニックと愛の交換をしっかりと描いた、バルコニーのパ・ド・ドゥ。
 

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