気ままにブダペスト生活 #51

ぶらり旅
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9月に入り、夏休みを終えた学生たちが戻ってきました。
私の友人たちも、バケーションから帰ってきて、
授業登録や新しい学年の始まりに、忙しくしています。

水球ファンの私は、水球がオフシーズンだと、本当にヒマになってしまいます。
モントリオールやベオグラードで慌しく水球ファンをやっていた日々が嘘のように、
今の生活はのんびりしています。
ハンガリー語の勉強に集中しなければ・・・と思いつつ、
言語の習得がいかに難しいかをスペイン語で実感している私は、
なかなか新しい言語に取り掛かる気にならず、
のんびりハンガリー語基礎の本を読んでいます。
勉強嫌いの言い訳のなにものでもないですね。

ELTE国立大学の日本語学科の友人が、カンフェレンスの発表を見に来てくれ、
と言うので、ちょっと覗きに行ってきました。
大阪外語大学ハンガリー語学科の学生たちが、約1週間の研修に来ており、
日本・ハンガリー国際交流会
「ハンガリーから見た日本、日本から見たハンガリー」が開かれました。
大阪外大の学生たちのほとんどが1,2年生で、
ハンガリー語との出会いや、ハンガリーに興味を持ったきっかけなどについて、
日本語で話している人が多かったです。

一方、ELTEの学生は、流暢な日本語で、
日本食と健康について、日本とハンガリーの高齢化社会について、
日本語に見る若者言葉について、
などと言った研究内容を発表している学生が多く、
まだ日本語の発音がはっきりしていない人でも、
果敢に日本語での発表にチャレンジしていました。
留学経験のある学生が多く、
1~2年間日本で過ごした体験記を話している学生も居ました。
以前から、ハンガリーの学生のレベルの高さに驚愕していましたが、
ELTEの学生に話を聞くと、日本に留学する前に、
ほとんどの学生が日常会話程度の日本語を話せるようになっている、と言います。
日本の大学生について、留学経験のある友人に聞いてみると、
「日本の大学生は、ほとんどの人が自分の専攻を十分に研究していないし、
 しようとする意思も感じられない。何をやっているのか、って思った。」と答えました。
かつては、私もそんな学生でしたから、人のことは言えないのですが、
やはり、日本の大学生については、何か足りないものがあるように思えました。
日本人が日本語で発表をするのに、自分の書いた原稿をひたすら読み、
終始下を向いたまま、その朗読が終わる姿と、
日本語の原稿を読みながらも、一生懸命、聴衆に訴えようとする姿のハンガリー人と、
どうしても、同じ大学生とは思えなかったのです。

その上、とても残念だったのは、日本人学生の振る舞いでした。
企画を担当した先生方とELTEの学生たち、
そして、この企画に協力した国際交流基金のスタッフなどは、
スーツもしくは、それに準じたきちんとした格好をしているのにもかかわらず、
日本人学生は、数人がおしゃれ感覚で着ているであろうジャージや、
Tシャツにジーンズといった姿で、発表を行っている人も居ました。
ハンガリーの学生から、なんであんな格好をして人の前に立てるの?
という言葉を聞いたときは、とても悲しい気分になりました。

バルセロナでも、日本の若い世代の常識が、問題になった事がありました。
最近の日本では、若い女性がどこでも化粧をする姿が普通になっているようですが、
それを常識だと勘違いし、留学しに来た学生が、
バルセロナで娼婦に間違えられたことがありました。
人の前で、鏡を持つ事は「私は娼婦です」と宣言している意味になるからです。
他にも、テーブルマナーの悪い人やレディーファーストが出来ない人、
人前で鼻をすする人など、
こちらではタブーといわれる行為をいつまでも直さない人をたくさん見かけます。

なぜだか分からないのですが、
若い人たちの観察力が低下しているように感じることがあります。
前に、バルセロナに留学していた学生が、
「初めてバルセロナに来たとき、バスの乗り方が分からなくて、
 急いでいたから慌てて乗ったら、そこが降り口で、運転手にキレられて困った」
と話していたんですが、私にはなぜこうなるのか、まったくわかりませんでした。
知らない土地に来て、言葉も分からず、知り合いも居なかったら、
周りの人を見るのが普通ではないでしょうか?
もちろん、自前の情報収集をしなかったことも問題ですが、
それでも、バルセロナでバスに乗る人はたくさん居り、
人の真似をしていれば、降り口から乗るなんてことは、ないわけです。
先のジャージを着ていた学生も、2日間のコンフェレンスで、
2日間ともジャージを着ていました。
初日に周りの人を見ていれば、2日目は改善できたのではないか?
そう、思ってしまう私は、もうオバサンなんだ、と思いましたが、
隣に居た20歳の友人も、同じことを思っていました。

日本には、多くのものが溢れていて、何不自由なく暮らせる環境があります。
モノが溢れすぎていて、自分にとって、必要のないものもたくさんあります。
自分から欲しなくても、必要なものが用意されるし、
物事の良し悪しを判断をする前に、禁止されるので、
それが自分にとって必要なものかどうか、良いものかどうか、
判断しなくて済むわけです。
自分のやりたい事の情報を自ら探し出し、それを参考にしながら、実際に努力し、
問題の解決や物事の向上など、いろいろなことを考えながら、自分の目標を達成する、
そういった経験をすることが、少なくなってきているのかもしれません。

大学に進学するのが当たり前になっている日本では、
勉強したい人だけが必ずしも進学するわけではありません。
難しい大学受験を突破し、入学したら遊ぶ、という人もたくさん居ます。
しかし、本当に勉強をしたくて進学する人も中には居ます。
今回、研修に参加している大阪外大の学生にも、そういう人が居ました。
その中の一人が、本当はフランス語を勉強したかったのに、
成績順に学科が決まるから、ハンガリー語学科になってしまったと言う人がいました。
これもなんだか気の毒な話です。
彼女は、この研修の前にフランスに寄ってきたそうですが、
やはり、フランス語への興味は尽きないと言っています。
大学のシステム上の問題とはいえ、本当に学びたい人が、
学べない大学とは、何なのだろう?と思わずにはいられません。

研修最終日の反省会で、日本の学生から、いろいろな意見を聞くことが出来ました。
もっとハンガリーのことについて、勉強してから来ればよかった、
次回は日本へ招待したい、自分の故郷を紹介したい、
日本文化について、もっと勉強するべきだと思った、
ハンガリーの学生とメーリングリストで情報交換したい、
お互いの文化を紹介し会えるようなHPを作りたい、
同じような分野に興味を持っている学生同士で、情報交換をしたい、
見たり聞いたりするだけでは、
本当の意味で理解した事にならないことを実際に体験してよく分かった・・・etc
コンフェレンスで頼りない姿だった彼らは、
この数日間で、ずいぶん変わっているように見えました。

海外に出ないと、気付けないという事自体が、問題ではありますが、
この研修で、言葉で表せない何かに気付けただけでも、良かったと思います。
次回、日本で同じような交流会を開催し、実際に企画する側になれば、
また違った大変さを味わい、多くの方々のご協力があって、
今回の交流会が実現していることを、身を以って感じることになるでしょう。
この交流会が、今後も継続し、より良いものになることを期待しています。

外を見て、初めて中の良さが分かる。
とても恥ずかしい事ですが、私自身もそうでした。
以前にも書きましたが、国際交流の第一歩はまず自分の国のことを知ること、
それを再確認した、交流会でした。

来週は、水球マジャールカップの決勝が行われます。
すでに予選は各地で行われています。
久し振りの水球観戦!!
また、マジャール水球の最新情報をお届けできたらいいな、と思います。
水球観戦生活も、もうすぐ終わりになります。
最後まで、応援よろしくお願いしますね!

*にーあや* 感想をお待ちしています

Macky!メールマガジン「Viva Barcelona!」
発行者名:ni-aya
水球に魅せられて早や2年。世界水泳をきっかけに、バルセロナまで来てしまいました。 2年間ここで水球観戦しながら、のんびりスペイン生活を自由気ままに満喫します。スペインが好きな人、水球を知りたい人、バルセロナに興味がある方はぜひぜひご覧あれ!!
2004年のアテネオリンピックをきっかけに、水球が国技のハンガリー・ブダペストに魅せられて移住。日本へ一時帰国するのをやめて、そのお金をブダペスト生活に注ぎ込み、マジャール水球を自由気ままに満喫しています。

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