日本ではもちろん話題になっていると思いますが、
中国での反日デモのニュースは、スペインでも毎日報道されています。
日に日に過熱するデモの激しさは、テレビの影像で見れば誰にでも分かります。
日本でどのように報道されているのか分かりませんが、
今、日本と中国の関係について見直す、いい機会ではないでしょうか?
日本を出て初めて分かることが沢山あります。
ヨーロッパ諸国から見た日本のイメージは、
日本文化に対する好奇心、日本人の性格に対する評価は高いものの、
国際政治的見地からは、不信感が強まっています。
アメリカとの関わり、そして、今回の中国との関係、
どれを挙げても、あまり良いとされる部分が少ないのが実情です。
「あれだけアメリカに酷い事をされたのに、何も感じないの?」とよく言われます。
どの国でも戦争の歴史はあり、原爆を落とされたという経験以外は、
日本も他国も同じなのです。
にもかかわらず、日本では若い世代の戦争に対する認識が低いように思います。
日本人が国際情勢に疎い、というのは、こちらに来て痛感しました。
語学学校の授業でも、必ず討論のテーマになるのは、宗教、政治、歴史、文化です。
私は日本の政治も、歴史も、文化も何一つ満足に説明できないのです。
こちらで出会う友達は、誰もが自国の歴史を良く知っており、
国際情勢について、興味を持ち、はっきりとした自分の意見を持っています。
恥ずかしい話ですが、私は彼らの国際関係討論が始まると全く発言できなくなります。
もちろんそれはスペイン語のレベルが低いということではなく、
国際情勢について何も知らないからです。
無宗教の私に宗教の話は関係ないと思っていましたが、それも違うようですね。
日本の宗教についても、知るべきときが来たようです。
世界中で起こってきた戦争のほとんどが、宗教的な理由によるものであることを見ても、
宗教について考えることは、とても重要です。
2月にセルビア・モンテネグロを訪問した際、
私はノビ・サドで知り合ったセルビア人に、戦争について聞いてみました。
「宗教の違う人と隣り合わせで暮らすことはできない。」
そう言われて、衝撃を受けたのを忘れることはできません。
日本人が考えているよりもずっと、
宗教とは大きくて、重たくて、絶対的なものなのです。
旧ユーゴスラビアの歴史の中で、
なぜ「民族浄化」という悲しい出来事が起こったのか、
家族を殺すことになりかねない戦いをしなければならなかったのか、
彼女の発言によって、ほんの少し分かったような気がします。
私たちは、そこまで宗教の重みを考えたことがあるでしょうか?
自分の尺度からしか、宗教を見ていないのではないでしょうか?
先日、ローマ法王が逝去されました。
スペインでは、もちろんトップニュースになり、
今でも連日ローマの中継が流れています。
世界中から何万人もの人々が集まり、ローマでは宿泊施設も足りないと言うのに、
それでもまだまだ人が集まってくるのです。
カトリック教徒たちが、ここまでする理由を考えたことがありますか?
はっきり言うと、私にはその重みを理解することができません。
私は無宗教ですから。
しかし、それだけ大きなことが起こったのだということは理解しています。
カトリック教徒たちにとっては、何よりも重大な出来事なのです。
日本でも、小泉首相の靖国神社参拝が話題になりますが、
宗教の重みをきちんと理解した上で、討論がなされているでしょうか?
毎週教会へ行くような熱心な信者たちが大多数の他国から、
どのように見られているか、考えているでしょうか?
宗教の問題にしても、歴史の問題にしても、もっと深く追究し、
その場しのぎ的な解決に逃げず、真正面から見る必要があるように思います。
形式やしきたりにこだわるのは、悪いことではないですし、
それが日本の文化でもありますから、美しい形を保つのはいいことです。
しかし、それがいつの間にか外見にばかり注目するようになり、
物事の本質を見失うことになっていないだろうか、と心配になります。
体裁を気にするあまりに、中身が伴っていないということが多々あるように見えます。
日本の社会がそういう傾向になれば、当然、若い世代にも伝わっていくはずです。
今の日本を背負っている大人が、行動で示さなければならないと思います。
これを読んで下さっている方の一人でもけっこうですから、
誰かと日本と中国の関係について話してみて下さい。
外国人のお友達がいる方は、宗教について聞いてみて下さい。
日本について、ほんの少し考えてみて下さい。
海外に行く人だけが国際人でないことが分かるはずです。
日本について知ること、これが国際性の第一歩なのです。
さて、堅い話ばかりではつまらないので、少し前回の続きを。
女子世界選手権欧州予選を観戦した後、
私は、バレンシアの火祭りを見に行きました。
この祭りは、スペイン三大祭の一つに挙げられ、毎年3月12~19日に行われます。
起源は、3月19日のサン・ホセの日に大工たちが仕事納めとして
古い材木で焚き火をしたことに由来するのだとか。
祭りの期間は、約1年かけて作られたファリャ(張子の人形)が街のあちこちに飾られ、
さまざまなイベントが行われます。
人々は、毎日街を歩きながら爆竹を鳴らし、夜が更けるまで飲み騒ぎます。
また、この火祭りと共に闘牛のシーズンが開幕。
連日特別興行が組まれ、闘牛ファンが押し寄せます。
そして、最終日の深夜0時。
人気投票で1位になったものだけを残し、全てのファリャに火がつけられます。
市役所広場の巨大なファリャは、深夜1時に燃やされ、祭りは幕を閉じます。
私は去年、すでにこの火祭りを体験しました。しかし、今年もやってきました。
街のファリャを見て歩きながら、大きな鍋で作るパエリヤを食べる。
市場でバレンシアオレンジを買って、公園でかぶりつく。
子供たちが仕掛ける爆竹の音にびっくりしながら、ファリャの出来栄えを見て唸る。
観光客で溢れかえるバレンシアもなかなか面白いです。
今回も田中宏児選手を訪ねました。
残念ながら試合はありませんでしたが、
変わらずチームの選手として立派に活躍中です。
この週末に、La Copa del Rey(国王杯)があり、バレンシアも出場するので、
その調整に余念がないといったところでした。
そう歳が変わらない田中選手と話をするのはとても面白いです。
日本代表として、スペインの1部リーグの選手として活躍している彼と、
バレエダンサーを挫折して、趣味で水球を追っかけている私とでは、
まったく立場も、考えも違うのですが、違うからこそ面白いのです。
友人として田中選手とゆっくり話ができただけでも、
私はバレンシアに行って良かったなぁと思いました。
火祭りのクライマックスを見ずに、私は再びマドリッドに戻りました。
もちろんLa Copa del Reyを見るためです。
このご報告は、また次回。
のんびりいろんなものを見て、
いろんなことをやって、
いろんな人と出会って、
バルセロナを生きましょう。
*にーあや* 感想をお待ちしています
Macky!メールマガジン「Viva Barcelona!」 発行者名:ni-aya 水球に魅せられて早や2年。世界水泳をきっかけに、バルセロナまで来てしまいました。 2年間ここで水球観戦しながら、のんびりスペイン生活を自由気ままに満喫します。スペインが好きな人、水球を知りたい人、バルセロナに興味がある方はぜひぜひご覧あれ!! 2004年のアテネオリンピックをきっかけに、水球が国技のハンガリー・ブダペストに魅せられて移住。日本へ一時帰国するのをやめて、そのお金をブダペスト生活に注ぎ込み、マジャール水球を自由気ままに満喫しています。
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