気ままにバルセロナ生活 #21

ぶらり旅
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毎日バルセロナは快晴。
眩しい太陽を見上げるたびに、去年の世界水泳を思い出します。
異常気象で、ヨーロッパ中が暑かったあの夏です。
真っ黒に日焼けしながら、水球、競泳観戦に明け暮れていました。

それを思い出していた矢先、偶然にも、9~10日にこちらで競泳の大会があり、
日本競泳陣がバルセロナに来ていました。
私がよく水球を見に行っていたクラブで開催されていたので、見に行ってきました。
世界水泳で活躍していた選手たちが目の前にいて、なんだか感動。
日本人選手だけでなく、各国からスイマーたちが集まっており、
こんな大会をすぐ近くで、しかもタダで見ることができたことに幸せを感じました。
私個人的には、ポポフ選手のスマートな泳ぎを間近で見ることができて嬉しかった。
選手の数は、日本が群を抜いており、
約40人の選手たちがこの遠征に参加していました。
そして、報道陣の数!!
三局くらいのテレビ、沢山のカメラマン、リポーターなどなど・・・
あの岩崎恭子さん、松岡修三さんも取材に来ていました。
やっぱり水球とは全然違うなーなんて、前から分かっていたけど、
久し振りに日本の現実を目の当たりにしてちょっとがっかりしてみたり。
報道陣の数に比例するべく、日本人選手の活躍は素晴らしかったです!!
数々のメダルを獲得し、大会新記録を樹立し、大会を大いに盛り上げていました。
こちらの新聞やテレビ、ラジオでも報道されていました。
日本選手団は、すぐにイタリア・ローマでの大会に出場するため、
大会翌日にはバルセロナを発ちました。

さて、話はバルセロナの水球へ。
スペインのシーズンは終了してしまいましたが、私はまだまだ水球を追っています。
ナショナルチームの練習を見学させてもらえることになり、見てきました。
リーグ戦が終わってから4日後のこと。
決勝まで残っていたチームの選手は、たった4日間の休みだけで、もう始動です。
8月のオリンピックはもちろんのこと、それまでも多くの国際試合があり、
スペイン代表選手たちは、多忙なスケジュールをこなさなくてはなりません。
練習初日、集まった選手は20人。
もちろんそこに名キーパー、Jesus Rollanの姿はありました。
少し時が戻りますが、
彼のクラブでの最終試合となったリーグ準決勝のことを書きますね。

5月になってから、リーグ戦はプレーオフに入り、
あちこちで熱い試合が繰り広げていました。
Rollanが所属するC.N.Sabadell(CNS)は、C.N.A-Barceloneta(CNA-B)との試合で、
一戦目1点差で負けてしまい、もう後がなく、二戦目で勝たなければ、
決勝に駒を進めることができない大切な試合でした。
CNSは、バルセロナ郊外にある大きなスポーツクラブで、
多くの優秀な選手(競泳、水球)が所属しています。
以前から試合を見に行きたいと思っていたのですが、
車でないと行きにくい場所にあり、今まで一度しか行ったことがありませんでした。
偶然にも、私の友達の同居人が、CNSで仕事をしており、
車で連れて行ってくれると言ってくれ、この重要な試合を見る事ができたのでした。
30分以上前から観客席は、応援する人たちで溢れ、
それを見ただけでも、この一試合がどれだけ大きな意味を持つのかが窺えました。
CNSにとっては、負ければシーズン終了、CNA-Bにとっては、勝てば決勝進出決定、
どちらもこの試合には勝たなくてはならない理由がありました。

CNSのDaniel・Ballartのシュートがまず決まりました。
しかし、CNA-Bもすぐにゴール。交互にシュートが入り、結局3-3で第1ピリオド終了。
第2pは、CNA-BのGabriel・Hernandezが開始30秒でミドルシュートを決めただけで、
逆にCNSは2得点しました。
このまま波に乗れると思ったところ、第3p、CNA-Bが立て続けに3得点し、
CNSはDanielのペナルティーシュート1本だけしか入りません。
一時は2点差がついてしまい焦る選手たちは、苛立ち始め、
ペナルティーを打つ前のDanielは、審判の指示にもかかわらず、
なかなか離れようとしないCNA-Bの選手に対して、
一人には「どけ」と言わんばかりに突き飛ばし、
もう一人には足で水をふっかけました。
他の選手も、水中での激しいぶつかり合いに対してのファールがないことを、
審判に抗議する場面もありました。まさに一触即発状態。
いかにこの試合を上手くコントロールできるか、審判の器量の見せ所です。
6-7で始まった第4pは、選手たちだけでなく、観客の私たちも緊張させられました。
どちらが勝つのか、最後の最後までわかりませんでした。
CNA-BのGabrielが焦りからか、ゴール前で痛いペナルティファール。
4p開始2分40秒、もちろんこれもDanielが確実に決め、7-7の同点。
これでCNSは勝利の可能性が広がりました。あともう1点。
お互い壮絶な攻守で、残り1分をまわっても点は動かず、
これはもう延長戦に入るだろうと誰もが思いました。
ところが、あのCNA-BのヒーローGabrielが残り1回の攻撃に賭け、
ものすごい勢いでゴールを目指し、少々無理があるのもお構いなし、強引にシュート!!
これが決定打になり、試合終了。
以前から思っていましたが、彼の「絶対に入れてやる」という気迫はものすごく強く、
誰にも止めることができないのです。

私はこの日の光景を絶対に忘れることができません。
CNSの選手たちは、がっくりと肩を落とし、泣き崩れ、
プールから上がろうとしません。
Sergiは、10分以上プールの端に立ち竦んでいました。
Oscarは、プールサイドで肩を震わせながら、泣いていました。
プールサイドの片隅にへたりと座り込み、
目を真っ赤にしながら泣いていたJesusの姿もありました。
これで彼らのシーズンは終了なのです。
もう同じメンバーで水球をすることがないのです。
「夏休みだよ・・・」と一言もらしたSergiの言葉が私の心に突き刺さりました。
誰もが夏休みを今か今かと心待ちにするのに、こんな形で迎えるなんて。
シーズンを終えたCNSは、今シーズンで引退する選手に対して表彰を行いました。
キャプテンを何年も務めたMarc・Alcon選手、
キーパーとして活躍したJesus・Rollan選手。
「GRACIAS!!(ありがとう!)」
クラブは、最後にこの言葉を二人に贈りました。
スペインの水球界における、リーグ戦の大きさを知った日でした。

今シーズンのリーグ戦は、C.N.Barcelonaの優勝で幕を閉じました。
そして、これからはスペインのナショナルチームに注目してゆきます。
今まで、いろんなクラブで活躍していた選手たちが集まります。
アテネオリンピックに向けて、チーム作りをしています。
先週、ナショナルチームをを追って、マヨルカ島へ行ってきました。
次回は、その報告をしますね。お楽しみに!!

いろんなことをやって、
いろんな人と出会って、
バルセロナを生きましょう。

にーあや
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水球通信連載投稿中!! http://www.swimnews-japan.com/ ※2010年閉鎖

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発行者名:ni-aya
水球に魅せられて早や2年。世界水泳をきっかけに、バルセロナまで来てしまいました。 2年間ここで水球観戦しながら、のんびりスペイン生活を自由気ままに満喫します。スペインが好きな人、水球を知りたい人、バルセロナに興味がある方はぜひぜひご覧あれ!!

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